Born This Way!ドイツで感じた宗教と文化ー永心寺副住職見澤清縁上人(後編)

見澤さんにドイツの宗教観について聞いてみた

こんにちは、善立寺副住職、こうじりゅうじ(小路竜嗣)です。
お坊さんがお坊さんに聞いてみるインタビュー「echo」
今回は、前回に引き続いて、群馬県富岡市にある永心寺副住職、見澤清縁(みさわせいえん)さんにお話を伺いました。
前編はこちら↓

Born This Way!作曲家でお坊さんで元引きこもり?ー永心寺副住職見澤清縁上人(前編)

2018-11-30

見澤さんは国立音楽大学音楽文化デザイン学科創作専修(作曲)を主席で卒業されたのち、大正大学に編入し、浄土宗僧侶になられました。
さらに大正大学卒業後はドイツへ音楽留学をされました!
今回はそのドイツ留学で感じた宗教観や多様性について伺います。

ドイツ人口の40%が無宗教

見澤
日本では考えられないことなんですが、
ドイツでは役所の提出書類に「信仰する宗教」という欄があります。
その統計でいうと、ドイツ人口の約40%が特定の信仰を持たない無宗教の人々です。

ただ、ひとまとめに「無宗教」といっても、その中で似た考えを持つ人たちのコミュニティが存在します。
例えば、神はいないとする無神論者のコミュニティがあったり。

同じ考えを持つ人たちが集まり、そこでひとつの社会が生まれているので、「無宗教」というのもひとつの宗教なのかなと感じました。

ちなみに
ベルリンは特に無宗教の方の割合が高く60%にのぼり、「無神論者の首都」と呼ばれることも(wikipedia

キリスト教徒の先生との対話

見澤
大学には、フランス出身で経験なユグノー派プロテスタントの先生がいらっしゃいました。
実は私、入試のとき、履歴書の「その他」のところに「仏教の僧侶です」と書いてまして。

面接のとき、その先生にはそれはそれは興味津々の顔をされましたね。

「なんでお坊さんがここに?!」と驚かれました。

こうじ そりゃ驚かれますわ。

見澤
その後もその先生とは授業が早く終わったときに、
「こういうとき仏教ではどう考えるの?」
「キリスト教ではどうなの?」とお互いの宗教についていろいろな話をしました。

でも、お互いに信仰を押し付け合うことはなかったです。

実際、キリスト教の考え方を聞いて「違うな」と思うこともありました。
先生も私の仏教話を聞いて、違うなと思うことはあったと思いますが、否定されることはありませんでした。

先生自身、カトリック教徒が多いフランスが居づらく、ドイツへに移住してきたそうで。
同じ宗教マイノリティーとして私の信仰を大切にしてくれたのかなと思います。

ドイツの仏教事情

こうじ ドイツで仏教というとどんなイメージですか?

見澤 ドイツって無宗教者が多いわりに、瞑想が大好きなんですよ。
なので、ドイツで仏教といえば「禅」ですね。

「侘び寂び」みないなことをそのまま「ZEN」と言ったりもします。

私が僧侶であるというと「おお!ZENはやるのか」とよく聞かれました。
私が「仏教にも色々な宗派があり、禅をやらない宗派もあるんだよ。そして、私たちは念仏といって、仏の名前を唱えるんだ」
と伝えると、初めて禅を組まない仏教もあると知ってもらえました。

肌で感じた移民問題

こうじ ドイツは移民問題で受け入れるべきかとニュースになっていますが、現地で暮らして移民問題を肌で感じたことはありますか?

見澤 ドイツでは移民が増えてから、移民による日本人などの東アジア人への暴力事件が増えました。

もちろん、移民全てではなく、一部の移民による犯行です。
私も殴られたとか、痴漢にあったという話を実際に見聞きしました。

なぜ、東アジア人が標的になるかというと、ドイツ人と比べ体格が小さく、移民よりも更に人口が少ないマイノリティーだからです。
さらに困ったことに、マイノリティーであるため、私たちの声は国や行政になかなか届かないんです。

こういった現状はマスコミでもあまり報道されず、対応も進んでいません。

政治と宗教

見澤 ドイツは無宗教者が多いといいましたが、それでも政治の話には宗教問題が隠れていたりします。

例えば、移民を排除したい人は
非白人系ドイツ人だから排除したいのか。
アラブ人だから排除したいのか。
イスラム教徒だから排除したいのか。

と、「移民」の言葉ひとつにとっても一人ひとり受け取り方が異なります。
同じキーワードでも考え方が異なることを前提としなきゃなと思いますね。

こうじ
なるほど。私たちはなんでも単純化して、ひとまとめに考えてしまいがちですよね。

見澤
はい。例えば、「イスラム教徒」といっても、一人ひとり信仰の仕方が異っています。

友人に敬虔なイスラム教徒の男性がいまして。
彼はスマホアプリで礼拝時間を管理し、真夜中であってもその時間には起き、礼拝をするくらい敬虔なイスラム教徒でした。

ラマダンの期間中も
「ヨーロッパはアラブより(緯度が高くて)日が長いからつらい!」と笑いつつ、厳格に守ってました。

ちなみに
ラマダン:日の出から日の入りまで絶食する期間(wikipedia
日の出から日の入りまで絶食する期間

と、その一方、彼とは対照的な熱心でないイスラム教徒の友人もいました。

一度、敬虔なイスラム教徒の彼に、
「熱心ではない彼のことはどう思うの?」と聞いたら、
彼は
「私の信仰は私と神との問題。彼の信仰は彼と神との問題。私と彼との問題ではないんだ。だから彼は私の大切な友達だよ」
と。

それを聞いて私もそうか!なるほど!と思いました。

信仰は私たち一人ひとりと神仏との関係であり、信仰や宗教そのものが違っても、私たちは分かり会えると思います。

 

これからやりたいこと

こうじ 見澤さんがこれからやりたいことはなんですか?

見澤
ドイツには「ドナウエッシンゲン」という有名な音楽フェスティバルがあります。
これは週末、ドイツにある片田舎の体育館に、ヨーロッパ中の著名な音楽家と楽団が集まりコンサートを行います。

日本のお寺でもそのような音楽活動ができたらいいなと考えています。
今は寺院名鑑(※浄土宗寺院が一覧できる本。広辞苑くらいの厚さ)を見ながら、
一つ一つのお寺に「演奏会してみませんか?」と電話営業をしています。

ライターこうじ
自分のやりたいことを自分の力で道を切り開いていく見澤上人
修行時代からエネルギッシュな方でしたが、留学を経て人としても一層大きくなられたと感じました。
これからのご活躍もチェックしていきたいです!

○浄土宗道法山永心寺

朱門が印象的な永心寺様

〒370-2343
群馬県富岡市七日市884 Yahoo!ロコリンク

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