メルカリにはお寺生まれの社労士さんがいる
こんにちは。善立寺副住職の小路竜嗣(こうじりゅうじ)です。
お坊さんが聞いてみるインタビュー「echo」
今回は前回に引き続き、横井良典(よこいよしのり)さんのお話です。
↓前回の記事はこちら
横井さんは現在、社会保険労務士(以下、社労士)としてメルカリで労務を担当されています。
愛知県でお坊さんが経営する社労士事務所で資格取得後、上京された横井さん。
様々な経験の末、見つけた自身のアイデンティティとは?
社労士資格取得後、上京
横井
愛知県の社労士事務所で5年ほど勤め、平行して社労士資格を取得しました。
そのまま社労士として事務所で働く、という選択肢もありましたが、事務所を辞めて新たなチャレンジを求め、上京することにしました。
事務所の社長にはやめておけと相当止められましたが。。。
2度目の転職「アパレル:好きを仕事にする人って?」
横井
前職の人材派遣会社では、スタッフさんになんとか働いてもらうために苦心したので、
次は「好きを仕事にする人、そんな人たちが集まる会社ってどういう会社なのかな」という好奇心からアパレル会社に転職しました。
そこでは、社員数が2,000人から4,000人へスケールアップする中、大量の入社、退職の対応や給与支払い業務、女性活躍推進のプロジェクトや新規事業提案制度の運用などを担当しました。
生き生きと仕事をする人がいる一方で、人間関係やライフイベントなどで退職せざるをえない方も目にして、個人と組織の間に悩むこともありました。
均一なシステムではなく一人ひとりに寄り添う
横井
そのような体験を経て、労務担当として手続きや制度を作るだけじゃなく、社員一人ひとりへパーソナライズした対応が必要だと気づきました。そこでこの頃から産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの勉強も始めました。
こうじ
やってらっしゃることがお坊さんみたいですね。
横井
ありがとうございます。実は労務とお坊さんの仕事って似てるところがあると感じています。今、労務業務は電子化が進み、仕事自体も変わってきています。
電子化できることはそれに任せ、人と接することに注力していくべきだと感じています。
日々会話をしている私たち人間だからこそ、その人が悩んでいることや小さな異変に気づいてあげられるんじゃないかなと思っています。
3度目の転職 メルカリ2人目の労務担当に
横井
2016年、2人目の労務担当としてメルカリに入社しました。
当時、メルカリの社員数はまだ400人弱で、当時は労務手続きや勤怠、給与計算などを前任者が一人で行なっていました。現在は社員数、チームメンバーも増えており、障害者雇用やダイバーシティ推進を担当しています。
アイデンティティを受け入れ、オープンに
横井
新卒としての就職活動時には寺に生まれたことをオープンにして活動してなかったのですが、新卒の時もオープンにしていたらよかったなぁと感じています。
こうじ
それはなぜですか?
横井
最近、自分のアイデンティティが、生まれた環境や、接した人により作られているなと感じていまして。思い返すと、お寺に生まれ育ったことも自分を形成する大切な一部なんだと強く感じています。
だからこそ、自分のアイデンティティを隠して働くのは、心の一部を隠すのと同じで、非常につらいことだと思います。
オープンにすることで広がる活動の場
横井
今、メルカリで障害者雇用やダイバーシティ推進に携わっていますが、例えば自分がLGBTであることを隠しながら就職活動をするって相当苦しいことですし、自分を受け入れてもらっていないというような感覚もあったりすると思います。
私がお寺に生まれた事をオープンすることで、気持ちが楽になったり、活動も広がったのと同じ様に、メルカリでは自分を大切にし、オープンにできる社風でありたい、これからもそういう会社であり続けるよう労務としてサポートしていきたいですね。
私も今では社内で”おしょー”と呼ばれたり、社内でマインドフルネスの研修をおこなったりしています。
人との出会いが私を変える
こうじ
小さい頃からお檀家さんと関わったり、その期待がゆえに辛かったりという経験こそが今、人関わる仕事を選んだ理由でもあると。
横井
はい。その影響も大いにあると思います。
こういう話してると、横井は相当人間が好きなんだろうなと思われるんですが、
決して人と関わることが大好きだ!ってタイプでもないんですよ笑。
でも、今まさにこうじさんとお話してるように、いろんな人と出会うことで自分の考えが変わったり、整理されたり、新たな視点を持つことができるのが楽しく、好きなんだなと思います。
これからやりたいこと
こうじ
横井さんがこれからやりたいことはどんなことですか?
横井横
“おしょー”がいる会社、関わっている会社は安心して働ける。という会社にしていきたいですし、そういう会社を増やしていきたいと思っています。
社会には働くことで悩んでいる方が大勢いらっしゃいます。その方たちが自分で納得し、働くためのサポートを行っていきたいです。
また、働いていて感じるのは、いま多くの人がお寺のように誰もを受け入れてくれる場所を必要としていることです。そんな人たちのための場所も提供できたらいいなとも考えています。
あとは。そうですね。。。
私と同じようにお寺に生まれて、継ぎたくない!と悩んでいる子どもたちに、こんな変な道を歩んだ人もいるんだという一例になれたら一層うれしいです!
お寺が嫌で飛び出した横井さん。 様々な困難を経験し、アイデンティティとして受け入れられたこと。清々しいお顔でお話された姿が印象的でした。
本記事は広告記事ではなく、筆者の個人的なインタビューです。この記事に関して、株式会社メルカリからの利益供与は一切ございません。